なにもいらない





もともとマメじゃないし、最初から期待なんてしてなかった。

でも、もしかしたらっていう気持ちがあったのも事実。

 

「ちょっとぉ、主役がそんな顔してどーしたのよぉ!」

 

隣で飲んでいたマリーが、ボーッとしていた自分に絡んできた。ちょっと欝陶しかった。

 

「そーですよぉ!ほらほらぁ!」

 

反対からユリも絡む。耳元でうるさい。

 

「わかった、わかったから!」

 

私はとりあえず空のグラスを出して酒を注いだ。

 

 

数時間後私以外の潰れた人間を奥の休憩室に押しやり、散らかった空瓶やグラスを片付けていた。

 

(結局私が片付けんのか…わかってたけど。)

 

ため息を吐きながら片付けを終え、片付いた机で、お気に入りの酒を開けた。

 

「…バカヤロー…」

 

誰もいない部屋で、不貞腐れながら飲んだ。

 

少しの間転寝をしてしまった。

背後の気配に気付くと、安堵の息が漏れた。

 

「…もぅ、遅いよ。」

「悪い。でも、まだ日付けズレてないよな?」

 

いつもそうだ。

自分が諦めた時にくるんだ、こいつは。

 

「誕生日、おめでとう。」

「…ありがとう。」

 

この年では、誕生日なんてあんまり嬉しいもんじゃないけど…

それでも、祝ってほしかった人は…

 

「いっしょに、飲む?」

「……ん。」

 

プレゼントなんていらない。ことばなんていらない。

ただ、一緒にいるだけでいい…。

 

「リョウ…もう一回言って?」

「…誕生日おめでとう…」

 

愛する人が一緒にいてくれる時間。

それが、1番のプレゼント…。

 

 

END

 

 

 

あとがき

 

お誕生日おめでとう!キング!!

と、いうわけで…非常に短いですが…だらだらしたものより、この方が2人らしいと思いました。

最後までリョウなのかわからない感じに進めてしまったが…何とか名前を呼ばせることに成功。

この後、一緒に飲んで、そして…みたいな展開になるのかは謎。

だって奥には妹やらなんやら色々いるし。

置いてって2人でどっか行くって事は無いでしょう。

 

とにかく、おめでとう!!

これからも素敵なお姉様でいてください!!!

 

 

 

 

 

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