10.微熱
身体がだるい。だるすぎる…
多分、連続勤務のせいだ。一体何時間労働してるんだ、俺…
「ノイマン少尉、この書類なんだが…」
「あ、はい…なにかありました?」
バジルール中尉が書類の束を持って近づいてくる。
あぁ、大好きな人の声なのに…書類って言葉が痛い…
「ノイマン、おい、ノイマン?」
「あ、すいません。」
「…大丈夫か?顔色が悪い。」
中尉の顔が近づく。あいかわらず無防備だ…。(オイシイけどね)
「大丈夫ですよ。で、どこが……!!!???」
中尉が帽子を脱いで、俺の髪を掻き上げる。
「失礼するぞ…」
―こつん―
「ちゅ、ちゅちゅ中尉!!??」
お、おでことおでこがくっついている。めっちゃ顔が近い!近すぎる!!
「…少し熱があるぞ?この書類はいいから、もう休め。」
「…」
「少尉?」
「…は!はい!!」
「大丈夫か?」
「(あなたのせいです…)は、はい。すみません。」
「いや、連続勤務の疲れだろう?無理をさせているのはこっちなんだ。すまない…」
「い、いえ!仕方ないですよ、もともと乗員が少ないんですから。」
なんだかだるさがどこかへいってしまった気がする。
中尉、可愛すぎです!
「私はまだシフト中だから、もう行くな。ちゃんと医務室で薬を出してもらえよ。」
「はい、失礼します。」
中尉の背中を見送って、医務室に向かった。
彼女の信頼を失わないためにも…ちゃんと休まないとな。
軽い食事の後、もらった薬を飲んで、着替えてベッドに潜った。
実は、中尉とはすでに恋人同士なのだが…公の場での戯れはご法度だった。(当然か…)
なのに、廊下であの行動は…うぅ、まだドキドキしている!!眠れねぇ…。
―コンコン―
「ノイマン、私だ、入るぞ?」
…へ?
「あれ?シフトは…」
「うん、もう休憩だ。どうだ、調子は?ちゃんと薬は飲んだか?」
そうか、今日は俺と30分くらいしかずれてなかったんだっけ…
「ちゃんと飲みましたよ。熱も測りました。」
「どのくらい?」
「37.0℃だったかな…」
「微熱だな。」
「えぇ…でも、油断はできませんからね。」
「そうだな、悪化したら大変だ。」
そう言いながら、おもむろに俺のデスクの椅子に腰掛ける。
そして、持ってきたノートパソコンの電源を入れていた。
「…その書類、さっきの?」
「あ、あぁ…気にするな、お前は寝ていろ。」
「そんな…手伝います。貸してください。」
「悪化させる気か?」
「…だからといって、あなたの休みを削ってやらせるわけにはいきません」
中尉だって、疲れているのに…自分だけ寝てはいられない。
「…だって、その…」
困ったように、手を合わせてもじもじとする。(めっちゃ可愛いんですが!)
「せっかく時間が合うんだから、その、ここに居たいし…でもちゃんと休んでほしいし…うん、だから、な?」
くっ!なんて健気なんだ!!
上目遣いで、しかも真っ赤になってこっちを見るのだ。たまらない!!
「だからって、別に仕事しながらじゃなくてもいいじゃないですか。」
「…だって、休むのに邪魔じゃないか。」
「自分の分の仕事をしている方が、よっぽど気になって休めません。」
そっと起き上がり、彼女を背中から抱きしめる。
硬くなるのがまた可愛らしい。
「のののノイマン!!!」
「元気になった。」
「なにを言っている!ほら、早く戻れって!」
「ナタルの方が、熱い。」
「お前のせいだ、バカ!!」
パソコンの電源を切って、そっと身体を持ち上げ、ベッドに移動した。
「ちょ!ノイマン…」
「さすがにそんなに元気じゃないんで、せめて添い寝くらい、いいでしょ?」
「なにが『せめて』だ!熱が移る!!」
「微熱だから。風邪じゃないし。」
じたばたと暴れる身体を抱きしめると、大人しくなった。
「温かいしね。」
「…湯たんぽか、私は…」
「いいね、柔らかいし。」
「バカ…」
…疲れている時には、これが一番の薬かもしれない。
END
あとがき
熱々でバカップルなノイナタです。やったー!やっと書けたよー!!
ノイマンがいきなり図々しい奴になりましたが…二人きりになったから、というわけで、むっつりエロノイマン再び?
つーか、最初の方とかアホですよね、ノイマン。すいません、本当は真面目で優秀なのに…。
そういえば、カッコイイノイマンはなんとか書けるのに、カッコイイナタル書けないんですよね…。
…まぁ、本編で十分カッコイイし、いい、かな?