星に願いを





こういったことには、昔からあまり興味が無かった。

でも、今は、あなたがいるから、願いたくなる。

 

 

あなたがいるから、願うことは、ただ1つ―――

 

 

 

「フラガ少佐がね、今日笹を採ってきたんだって!」

「笹?あ、そっか、もうすぐ七夕だよね。」

「……笹なんて、どこで拾ってきたんだろう?」

 

子供達の無邪気な声が食堂に響いた。

そうか、もうすぐ七夕だな。

短冊に願いを書いて、笹に結わう。

 

「ノイマン少尉は何を書きますかぁ?」

 

ふと、目を輝かせたハウが俺を見つめていた。

何かを期待するような眼。

このくらいの女の子の想像していることは、なんとなくわかる。

 

「世界が平和になりますように、かな?」

「えー?!」

 

ほら来た。

どうせ、ロマンスを期待してたんだろう。

 

でも、願うことじゃない、と思う。

 

その時だった

 

「世界平和は、我々が作り上げるものだぞ、少尉?」

「ば、バジルール中尉」

 

バスカークの体が硬直する。

 

「…わかってますよ、中尉。子供達をからかっただけです。」

 

それを聞くと、彼女は少し赤くなって、そっと俯いてしまった。

 

「そ、そうか…。」

 

こんな反応をされると、思わず抱き寄せたくなる。

ぐっと堪えていると、背後のハウが頬を膨らませていた。

 

「ひどい!からかわないでくださいー!」

「すまんな。でも、嘘ではないぞ。」

「じゃあ短冊に書きたいことは?」

 

わざとか?ケーニヒ…

バジルール中尉をこっそり見ながらウインクをするのは……

どうしたものか……適当に何か言っとけばいいんだが、思いつかない。

困った顔をして頭を掻いていると、バジルール中尉が小さく咳払いした。

 

 

「楽しそうな話をしているところすまないが、少尉、さっきもらった資料のことで話がある。」

 

助かった!

思わず笑顔で返事をしてしまった。

 

「わかりました。」

 

子供達に軽く目配せをして、俺はすぐに中尉を追った。

 

 

 

「すまんな。ここの数値がどうも気になって。」

「何か間違っていましたか?」

「いや、こっちの方をいじれば、変わるんじゃないかと思って…」

 

色気のない話が続く。

 

「そうですね。ですが、こちらの負担を考えると、このままがよろしいのでは?」

「そうだな。じゃあ、艦長に提出しておく。」

 

そういうと、中尉が軍帽を深めに被る。

 

「少尉は、本当は短冊にどんな願いを書きたいんだ?」

「え?」

 

いきなりで驚いた。

ふと彼女を見れば、視線を下げている。

 

「…このままでいられますように、ですかね?」

 

彼女は不思議そうだ。

 

「戦争中なのにか?」

「世界は変わってほしいですが、自分の周囲はこのままでいいかな、と。」

「…よっぽどここのクルーとウマが合うんだな?」

 

ふぅ、と息を吐く彼女が妙に色っぽくて……

つい本当の理由が零れそうだった。

 

―――いつまでも、あなたの傍にいたい―――

 

それが、短冊に込めたい願い。

 

「私も、ここは悪くない。」

「短冊に書く程、ですか?」

「短冊に…か。まぁ、そうかな?」

 

では、その願いは、自分が叶えましょう。

 

7月7日、雨が降りませんように・・・

 

 

END

 

 

 

あとがき

 

また遅くなりました、七夕、終わっちゃいました。

しかし当日は晴れてよかったですね。私は身体が重くてヒーヒー言ってましたが。

ノイマン、バレてますね、子供達に!子供に遊ばれてる大人は楽しい。

 

そういえば、トノムラのお誕生日祝えなかったので、オマケ

 

 

 

おまけ

 

「ひどいっす!七夕の前に俺の誕生日があるのに!」

「知ってるよ。おめでとさん。」

(;)!それだけ!?」

「…全く、もう祝ってもらう歳じゃないだろう?…ほら、口を開けろ。」

「へ?こうですか?」

 

ぽい。

 

「バレンタインじゃないが…特別疲れてるときに食べるやつだ。結構高級なんだぞ」

「ふぇ〜///ありがとうございます!!甘い〜(*^^*)

(¬_¬)……トノムラ、俺もやるからあとで部屋に来い………パキポキ…」

「!!い、いや、遠慮しておきます!!」

「???なんだ??」

 

 

ナタルに餌付けされるトノムラ。ノイノイ嫉妬焼きです。

 

 

 

 

 

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