第1話 転校生





ここは、ナチュラルもコーディネイターも一緒の幼稚園、私立「コズミック幼稚園」。

数人の職員と、元気な幼稚園児たちがいました。

 

クラスは2つに分かれています。

 

平凡暮らしを好むクラス「アークエンジェル組」と、エリートコース志望の「ザフト組」。

人数はバラバラだけど、各園児達は今日も元気にお外を駆け回っていました。

 

 

「どうして、どうしてお前はアークエンジェル組にいるんだ!?できるだけの力を持ってるのに!!」

 

子供らしくない口調で子供らしくないことを叫んでいるのは、ザフト組の中でも超エリートのアスラン君です。

その向かいで困った顔をしていたのは、コーディネイターだけどアークエンジェル組にいるキラ君。

 

「だってアークエンジェル組には、大好きな友達がいっぱいいるから

「なっ!僕だってキラの友達じゃないか!」

 

キラ君の言葉に超ショックを受けたアスラン君。キラ君は慌てて言葉を付けします。

 

「あ、アスランのことも大好きだよ!?でも僕、あのおかっぱの子が恐くて

「イザークは短気で執念深いけど、悪いヤツじゃないんだ!慣れればすぐ

 

ついポロッと本音を洩らしちゃうアスラン。

 

 

「はっくしょい!」

「どうしたんです?イザーク、風邪ですか?」

……いや、誰かがどこかで俺の噂をしてるに違いない!」

 

ザフト組の教室でおっきなくしゃみをするおかっぱ頭のイザーク君は、こぶをにぎりながら怒ってました。

そんなイザーク君を心配しつつ、(こいつ自意識過剰だよ)と思いながら笑顔で見守っていた、心優しいニコル君なのでありました。

 

 

「と、とにかく僕、ザフト組にいくつもりはないから!(だってザフト組って女の子少ないんだもん)」

「あ、キラぁ!!」

 

本音を言わずにアスランから逃げるキラ。

キラの本音を知らないアスランは心底悔しそうな顔をしてキラの背中を見つめていました。

 

(くそぅ、ナチュラル達め!)

 

(ラクスちゃんも可愛いけど、アークエンジェルにはフレイちゃんもミリィちゃんもカガリちゃんもいるし、先生も美人だもんね!)

 

この年ですでにクラスの女の子、否、すべての女性に興味を示していたキラ君。

そんな彼の本音を知った時、アスランは何を思うでしょう………

 

 

「なあなあ、今度ザフト組に遊びにこいよ!こんな平凡な奴らといるより楽しいぜ?」

 

お庭のど真ん中で、やはり子供らしくないことを言っているのは、色黒のディアッカ君。

 

「いやよ!ザフト組ってわけわかんない子ばっかりじゃない!」

 

ディアッカ君の言葉を一刀両断したのは、はねっ毛が可愛いミリィちゃん。

 

「こら、お前!ミリィは僕の彼女なんだぞ!」

 

その間で怒っているのは、いつも元気なトール君だった。

 

「けっ!何も出来ない弱虫ナチュラルの癖に!」

「うるさい、老け顔!」

 

ディアッカ君の言葉になんら反応せず、彼の気にしていることをズバッと言ってしまったトール君。

ディアッカ君はショックを隠せません。

 

「コラ!お前達、また喧嘩してるのか!?」

 

そこへ、先生がやってきました。

 

「ジャッキー先生!!」

 

先生の正体がわかった瞬間、ミリィちゃんは走ってジャッキー先生の足にしがみつきました。

 

「私、ジャッキー先生と結婚するんだもん!」

『えぇっっっ!?』

 

ミリィちゃんの爆弾発言に、二人は驚いた。

 

「ほらほら、そういうことだから、もう喧嘩するんじゃないぞ?」

 

ジャッキー先生は笑って二人の肩を叩き、ミリィちゃんを抱き上げて行ってしまいました。

 

「う、うわぁぁぁん!」

 

トール君は走って教室に帰っていきました。

ディアッカ君は茫然としてしばらくその場から動けませんでした……

 

 

職員室にて。

 

「おい、トノムラ!お前子供相手にもうちょっと考えてもの言えよ!」

「えー、だってミリィちゃんがジャッキー先生と結婚するって言ってきかないんですよぉ」

 

あの後トール君に泣き付かれたノイマン先生は、職員室でダラダラしていたジャッキーことトノムラ先生にお説教していました。

 

「モテる男はつらいねぇ」

「そうなんだよ、まいっちゃうねぇ」

「コラチャンドラ!茶化すな!」

「おいおい、そんなお前もカガリちゃんに懐かれてるくせに

 

女の子に懐かれてる二人を冷たい目で一瞥するチャンドラ先生。

 

「そうですよ、俺達はしっかり男の子にだけ懐かれてるんですから。」

 

同じく冷たい目で見つめるパル先生。

 

「あーあ、どうするんです?カガリちゃんが結婚してくれって言ってきたら!自分にはナタル先生がいるからって断るんですか?」

 

「ッッ!な、なんでそこでナタル先生が出てくるんだよ!」

 

トノムラ先生の一言に、ノイマン先生は異常に反応してしまいました。

 

「私が何か?」

 

その時、4人の背後から、女の人の声がしました。

 

「な、ナタル先生!」

 

4人は振り替えって焦ります。ノイマン先生だけはなぜか顔が真っ赤です。

 

「い、いえ!なんでもありません!」

「?そうか……聞き間違えかな?」

 

ナタル先生はアークエンジェル組の担任の先生で、副園長先生でもあります。

先生方には厳しい人けど子供たちには優しく、とても美人でしかも天然でした。

 

「あ、ナタル先生、今度アークエンジェル組に新しい子がくるって本当ですか?」

 

トノムラ先生がナタル先生に聞きました。

 

「ん?あぁ、男の子が3人な。ただ、ちょっと癖のある子達だと聞いている。」

 

ナタル先生は真っ赤になって固まってるノイマン先生を一瞥しながら答ました。

 

「ノイマン先生、どうした?」

「あ、いえ!3人も増えるんじゃ大変だなと思いまして……。」

「うん、そうだな。先生方よろしく頼むぞ。」

「はい!」

 

ナタル先生はきびきびと去っていきました。

 

「ふえー、びっくりしたぁ」

「ノイマン先生?何でまだ固まってるんです?」

パル先生はノイマン先生の肩を突きます。ノイマン先生はハッとして首をぶんぶんと振りました。

 

「い、いや3人か

「ただでさえこのクラスは園児が多いのにまいったな」

「しかも癖のある子達なんだろ?はぁ、頑張ろうな。」

 

4人の先生はため息を吐きながら顔を合わせました。

 

 

「で、その3人はアズラエル理事長の知り合いだと?」

 

その頃、ナタル先生は園長室にいました。

園長室には、園長のマリュー先生、理事長のアズラエル先生、副園長のムウ先生、アークエンジェル組担任のナタル先生、ザフト組担任のアンディ先生がいました。

 

「ええ、少々癖のある子ですが、どうしてもこの幼稚園に預かりたいと言うものですから。」

 

アズラエル先生はいつもナタル先生を舐めまわすような目でみてきます。

マリュー園長はいつもそれを(セクハラ野郎めっ!)と思いながら睨み付けていますが、

ナタル先生自身はそんな視線にも気付いていません。

 

「アークエンジェル組は先生の数も多いし、問題ないだろう?」

 

ムウ先生は首を傾げて言いました。

 

「えぇ、問題ありません。あってもなんとかしますよ。これ以上園長に迷惑はかけません。」

 

淡々と言うナタル先生に、マリュー園長はうれしそうに笑いました。

 

「では明日からよろしくお願いしますね!」

「はい、わかりました。アンディ先生も協力よろしくお願いします。」

「ふむ、了解した。」

 

こうして職員会議は終わりました。

 

「ナタル、本当に平気?」

 

解散後、マリュー園長はナタル先生を呼び止めました。

 

「えぇ、大丈夫です。先生方も優秀ですし。」

 

マリュー先生の頼もしい言葉にマリュー園長は感動しています。

 

「ナタルは本当に頼りになるわ!」

「そんな園長の指導力にはまだまだ及びません。」

 

2人はその後も笑いあいながら語り合いました。

 

 

 

次の日、コズミック幼稚園に新しい園児が来ました。

 

「えー、今日からこのアークエンジェル組でみんなと過ごすことになりました子達を紹介します。」

 

職員会議で忙しいナタル先生の代わりに、ノイマン先生が転校生をつれてきました。

 

「左から順番に、オルガ君、クロト君、シャニ君です。みんな仲良くするように!」

『ハァーイ!!』

 

園児達はみんな元気に返事をしました。

 

 

「ねぇねぇ、オルガ君は何を読んでるの?」

 

自由時間、元気なトール君は早速新しい仲間達に話し掛けています。

 

別に」

 

端っこで本を読んでいたオルガ君は、そっけない返事をして、また本を読み始めました。

 

「く、クロト君は、それなんのゲーム?」

「うっさいなぁ。今いーところなの!邪魔したら撃滅!」

 

クロト君も、話し掛けてくれたカズイ君を追い返しました。

 

「ねぇねぇ、すごくおっきな音で音楽聞いてるね?」

「そーよ、ちょっとうるさいんじゃない!?」

 

サイ君とフレイちゃんは、爆音で音楽を聞いているシャニ君にアプローチをしますが……

 

……ウザい

 

一言呟いて寝始めました。

 

 

「うわぁぁぁん!」

「ど、どうしたんだ?」

 

突然おっきな泣き声が聞こえてきて、先生方は走って教室に来ました。

教室ではクロト君が泣いていました。

 

「何があったか説明してくれるかな?」

 

ノイマン先生は、クロトの正面にいたカガリに優しく話し掛けました。

 

「コイツがミリィの頭を引っ張ったんだ!」

 

正義感の強いカガリちゃんは、クロトを指差して非難しました。

 

「だってそいつが僕のゲームを取り上げるから!」

「取り上げてないもん!ちょっと貸してって言ったもん!」

 

ミリィはぐすぐすと泣きながらトノムラ先生にしがみつきました。

 

「クロト君、人の頭は引っ張っちゃダメだよ?カガリちゃんも、頭叩いたらだめだろう?二人とも謝りなさい。」

 

ノイマン先生はクロトの肩に触れようとしましたが、クロトは怒っていました。

 

「僕悪くないもん!」

 

先生方は困って顔を見合わせました。

 

「どうした?」

 

そこへ、会議を終えたナタル先生が帰ってきました。

先生方は一部始終を話します。

すると、ナタル先生は泣きじゃくるクロトを優しく抱き上げました。

 

「ほら、男の子は泣くもんじゃないぞ?」

 

言いながら、片手でミリィの頭を撫でます。

 

「痛かっただろう?でも、君がミリィの頭を引っ張ったから、ミリィも痛かったんだぞ?」

 

クロト君は頬を膨らませて先生を睨みますが、ナタル先生はにっこりと笑い返しました。

 

「さぁ、カガリ。クロトに言いたいことがあるな?」

 

ナタル先生がクロトを下ろすと、物分かりのいいカガリはこくりとうなずきました。

 

「頭叩いてごめんね?」

 

すると、クロトは罰が悪そうにミリィをみました。

 

「頭引っ張ってごめん」

「よし、これで仲直り!」

 

ナタル先生は3人を優しく抱き締めてあげました。

 

 

「しかし、ナタル先生の手に掛かるとみんな言うこと聞くな」

「すごいよ、あの人は!」

 

ノイマン先生は感動していました。

 

「しかし、今後あの3人はうまくやっていけるんですかね?」

 

パル先生は心配そうに言いました。

 

「クロト君、あの後またトール君と喧嘩しただろ?きりがないよ。」

 

先生方は同時にため息を吐きました。

 

 

こんな会話が繰り広げられてる間に、また職員会議が開かれました。

 

「あの3人をこのままアークエンジェル組に置いておくのは危ないわね。」

 

マリュー園長が頭を抱えました。

 

「園長、特別クラスを設けていただけませんか?」

「特別クラス?」

「はい。あの狭い空き教室で結構です。あの3人は私1人で引き受けます。」

 

ナタル先生は真面目な顔で宣言しました。

 

「アークエンジェル組はどうするんだ?」

 

ムウ先生が心配そうに言います。

その横にいたアンディ先生が名案を唱えました。

 

「ノイマン先生に担任を任せたらどうかね?」

「そうですね。ノイマン先生ならできるでしょう。」

 

ナタル先生も頷きました。

 

 

ノイマン先生が会議室に呼ばれ、再び会議が始まりました。

 

「ナタル先生、本当に1人で大丈夫ですか?」

 

あの曲者3人相手なので、ノイマン先生は気が気じゃありませんでした。

でもナタル先生は言い出したら聞きません。

 

「3人ですから。それに、人手不足ですから、他クラスに迷惑をかけるわけには…」

 

すると、いつものニヤニヤ顔でアズラエル理事が口を開きました。

 

「じゃあ私が副担になりましょうか?」

「ナタルは1人でいいって言ってるんだから、1人でいいんです!!」

「そうですね!!ナタル先生ならできますね!!」

 

バシッと反論する園長とノイマン先生でありました。

 

 

こうして、コズミック幼稚園に、新たなクラスが誕生しました。

 

明日は何があるのかな?

 

 

続く

 

 

 

1話のあとがき

 

初のパロディです!!!!!

幼稚園ネタ。ナタル総モテ☆…贔屓です。仕方ないです…。

密かにお気に入りカップリングにしてます。

サイフレとかトルミリとか…アスキラは興味ないですが、キラキラ言ってるアスランは清々しいと思います。

薬中はナタル大好きです。ノイマンもマリューも大好きです。

唯一ムウだけナタルを睨んでます。艦長…もとい園長愛です!

これからぼちぼち続きを書いていきます。

…ただの妄想なので、おおめにみてやってください…。

 

 

 


 

 

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